赤ちゃんのフケ

赤ちゃんのフケは「乳痂」あるいは「脂漏性皮膚炎」です。
赤ちゃんの頭皮にできるフケを含めた腫れ、炎症、カサブタなどを総称して「乳児性湿疹」とも言います。

この赤ちゃんのフケは母体のホルモンの影響のため、 成長とともに数ヶ月すれば自然に治癒します。

ここでは、赤ちゃんのフケの原因とフケに似た病気、治療方法について、 紹介しています。


乳痂(脂漏性皮膚炎)

赤ちゃんのフケは「乳痂(にゅうか)」と呼ばれます。(大人では脂漏性皮膚炎と呼ばれます。)

医師によっては乳痂を含め、頭皮にできる湿疹を総称して「乳児性湿疹」と呼ぶ場合がありますが、 乳児性湿疹と呼ぶ場合には、乳痂以外の他の病気の可能性があります。

赤ちゃんでは非常に一般的な症状で、 脂漏性皮膚炎と症状は同じであるものの、赤ちゃんの乳痂にはかゆみはありません。

頭以外に、おでこ、眉、まつげ、まぶた、耳の後ろなど顔や頭部を中心に発症します。

軽いフケから始まり、時間の経過とともにカサブタ状になり、赤みを伴うこともあります。 皮脂量が多すぎる場合は新生児ざそう(以下説明あり)を併発します。
重度の場合は、ひび割れや出血を伴うこともあり、その様なケースでは病院での治療を必要とします。

赤ちゃんのフケに似た病気

赤ちゃんのフケに似ており「皮膚の剥離」「カサブタ」「炎症」などを伴う病気は、 以下の通りです。

赤ちゃんのフケに似た病気一覧
  • 新生児ざ瘡(新生児にきび)
  • 新生児中毒性紅斑
  • アトピー性皮膚炎
  • 乾癬
  • 白癬
  • その他湿疹

新生児ざ瘡(新生児にきび、赤ちゃんニキビ)

原因が皮脂や汗であることは「乳痂(赤ちゃんのフケ)」と同じであるものの、 汗(脂)が頭皮や肌の毛穴につまり炎症を起こした症状、言い換えると赤ちゃんニキビです。

原因が同じ為、「乳痂(赤ちゃんのフケ)」と併発症することも多くなっています。

赤ちゃんは汗をかきやすいため、頭皮以外にも顔、体など汗をかきやすい部位の全てで発症しやすくなっています。
発症は生後2~4週間が多く、その後3~4ヶ月程度で自然治癒し、後も残りません。

この新生児ざ瘡を含めて、赤く腫れる症状を総称して新生児中毒性紅斑と呼びます。

新生児中毒性紅斑

新生児のほぼ半数に見られる一般的な症状です。 未熟児ではより多く(7割)発症します。

新生児と呼ばれるように、生後28日以内に見られる症状で、 紅斑とは医学用語で「赤み」を意味します。

症状は顔や体に現れ、手足に現れることは稀で、 赤みのある隆起した斑点と、まれに膿のある膿疱の場合もあります。

この新生児中毒性紅斑の原因は分かっておらず、 また特定の治療方法はないものの、ほとんど自然治癒します。
膿疱があるものの赤ちゃんの肌は洗剤に耐えれないデリケートな肌のため、 過剰洗浄は禁物です。

アトピー性皮膚炎

国際小児アトピー性皮膚炎協会(NATIONAL Eczema ASSOCIATION)によると、 幼児あるいは子供のアトピー性皮膚炎発症率は8.7%~18.1%と推測されています。

また別の団体によると、 アトピー性皮膚炎患者の65%が1歳未満で発症し、 5歳までに90%が発症します。

症状は頭皮や頬の他、摩擦の起きやすい肘や膝の関節、体全体に現れ、 他の湿疹とは異なり自然治癒することはなく、また、かゆみもあります。

乾癬

乾癬は大人になって症状が現れることが多いものの、 10歳未満の幼児・子供でも0.02%程度(アメリカでの幼児患者数と人口を利用)かかる炎症性の皮膚疾患です。

皮膚が赤く盛り上がり、 銀白色のかさぶたが落ちることからフケと似ており、 病気の初期にはフケとほとんど見分けがつきません。

時間経過により「乾癬の部分と正常な皮膚の境界がより明確に別れる」ため、 区別が付くようになります。

白癬

皮膚の伝染性感染症です。
水虫やいんきんたむしと同じ真菌感染症のため、 タオルやブラシなどから感染します。

菌が成長・増殖すると白癬は大きくなり、 かゆみを伴います。

身体中どこでも現れ、特に頭皮に現れる場合は頭部白癬と呼ばれます。
真菌感染症のため、治療にはフケと同じ抗真菌薬や薬用シャンプーで治療できます。

症状から何の病気かわからない場合は医者に相談

赤ちゃんの症状から、フケか他の病気か判断できない場合、すぐに医師にご相談下さい。


赤ちゃんフケの原因

赤ちゃんのフケの原因は未だ完全に解明されていないものの、幾つかの仮説が存在します。

  • 母体のホルモンによる皮脂量の増加
  • ビオチン不足

赤ちゃんは生後~6ヶ月までは、皮脂量が非常に多くなっています。 これは、母体由来の性ホルモンの影響と考えられており、 この皮脂量の増加が乳痂の原因と考えられています。
(母体のホルモンの影響が薄れ、その後性徴期までは皮脂量が著しく減少するため自然治癒します。)

また、 別の原因としてビオチン不足が指摘されています。
赤ちゃんのビオチン不足は母体のビオチン欠乏が原因です。

ビオチンは通常の食事を摂取する限り、不足する栄養素ではないものの、 抗生物質の服用により吸収できず、まれにビオチン欠乏症になることがあります。

赤ちゃんのフケ 治療方法

赤ちゃんのフケも大人のフケと原因は同じ為、いくつかの同じ治療方法を利用できるものの、 軽度の場合は自然治癒がもっとも一般的です。
  • 自然治癒を待つ
  • 医者に行く
  • 家でできる治療をする

自然治癒を待つ

症状は軽度~重度まで様々ですが、軽度の場合は自然治癒を待つことが一般的です。
赤ちゃんのフケは母体の影響による皮脂量の増加ですが、 この母体の影響は生後6ヶ月程度のため、その後2歳前後までに自然治癒します(海外において最長6年が確認されたものの、非常に稀)。

ただし、 新生児ざそうやひび割れや出血を伴う場合、 他の病気と区別がつかない場合には、病院での治療を必要とします。

医者に行く

病院によって処方される薬は異なるものの、乳痂の場合、 以下の様な薬を処方してもらえます。
さらに詳しい薬については、 フケ治療 皮膚科と薬・処方箋をご参照下さい。

ステロイド使用有無 外用薬名称 備考
非ステロイド 亜鉛華軟膏 炎症をやわらげる効果、患部を乾燥させ皮膚の再生を助ける
ステロイド リンデロン-VG 赤み、痒み、炎症を抑える
ステロイド キンダベート
ステロイド ケナコルト-A
ステロイド アルメタ軟膏

家庭治療

払い落とす

症状が軽度の場合には、入浴後にブラシ、タオル、手でフケを落とすだけでも問題ありません。
ただし、かさぶたなどができている場合にはフケと一緒に毛が抜ける恐れがあるため、 慎重に行う必要があります。

ワセリン

最も古くから利用される手法です。
ワセリンをつけて数時間から一晩ふやけさせた後、洗い流します。
ワセリン以外に、ベビーオイルや天然油を利用しても同等の効果を得ることができます。

低刺激シャンプーの利用

刺激の少ない低刺激のシャンプーや石鹸で落とします。
赤ちゃん用シャンプー(ご注意:amaznoへのリンクです)

抗真菌薬、抗真菌シャンプー

低刺激シャンプーやワセリンなどでも治癒しない場合、 脂漏性皮膚炎と原因は同じため、脂漏性皮膚炎の治療と同じ治療方法が有効です。

ただし、有効成分サリチル酸は赤ちゃんへの使用は推奨されていません。 また、抗真菌薬や抗真菌シャンプーの利用には必ず医師への相談が必要です。
脂漏性皮膚炎の治療方法

かさぶたができている場合

頑固なかさぶたができている場合、 ワセリンの他、重曹などで取ることができます。 詳しくは赤ちゃんのかさぶたをご参照下さい。


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