フケの原因-男性ホルモン

フケの原因-男性ホルモン
フケの原因の1つが、男性ホルモンです。

男性ホルモン(アンドロゲン)は、皮脂の生産をコントールする役割を担うため、 男性ホルモンが過剰になると、 「皮脂量の増加」と皮脂の増加による「マラセチア菌の増加」をもたらします。

ここでは男性ホルモン(アンドロゲン)とフケについて紹介しています。


男性ホルモンがフケに影響する理由

男性ホルモンがフケに影響するのは、 男性ホルモン(アンドロゲン)が過剰になると、 「皮脂量の増加」とそれに伴う「マラセチア菌の増加」をもたらすからです。

P&Gが発表した研究によると、「フケは皮脂量と強い相関がある」としており、 これは「フケの原因であるマラセチア菌が、皮脂の脂質を栄養とするため」であるとしています。
詳しくはマラセチア菌とフケをご参照下さい。

また、この「男性ホルモンがフケに影響する」と考えられている多くの現象が存在します。

男性ホルモン影響しているフケ
  • 赤ちゃんにフケが出る
  • 思春期以前はフケがほとんど出ない
  • 去勢により脂漏性皮膚炎が治まる

赤ちゃんのフケもアンドロゲンが影響

新生児は母体の影響により、生後6ヶ月程度まで、アンドロゲンが過剰になる傾向があり、 赤ちゃんのフケ、いわゆる「乳痂(にゅうか)」を発症しやすくなっています。

思春期前にはフケは発症しない

思春期前にはフケは発症しない
思春期以前、いわゆる第二次性徴期以前は、男性ホルモンの分泌量が十分ではありません。
この男性ホルモンの分泌量が少ない第二次性徴期以前には、 フケはほとんど見られません。

去勢により脂漏性皮膚炎が治まる

1942年の皮膚科学誌に記載されている内容によると、 去勢(アンドロゲンは主に精巣で作られるため、去勢されるとアンドロゲンの量が減る)された男性では、 皮脂の分泌が1/3となり、脂漏性皮膚炎がほとんど見られず、 テストステロンを投与されると脂漏性皮膚炎を再症すると記載されています。

なぜアンドロゲンが皮脂を増加させるのか

アンドロゲンが皮脂の増加をもたらすメカニズムは明らかになりつつあります。

皮脂腺はホルモン感受性が強いと言われるように、 皮脂腺には様々なホルモンの受容体があり、アンドロゲン受容体もその1つです。

体内で生成されたテストステロンが皮脂腺に入ると、 テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に変換します。 この時に利用される「5α還元酵素」が皮脂腺を刺激、皮脂を増加させる働きがあります。

余談ですが、薄毛治療薬として知られる「プロペシア」はこの5α還元酵素を阻害し、 ジヒドロテストステロン(DHT)の産出を抑えることから、 5α還元酵素II型阻害薬とも呼ばれます。

しかし、最近の研究では、 テストステロンレベルが低い場合でも皮脂量が増加する、という事象も確認されており、 この現象については未だ解明されていません。

アンドロゲンだけがフケの原因ではない

「皮脂量とフケの間には相関関係はない」とする研究も存在します。

1988年、フランスで発表された論文「頭皮の脂漏症への生理病理学的アプローチ」によると、 頭皮の皮脂量と脂漏性皮膚炎には明確な相関関係はなかった、と発表しています。

これは皮脂以外に皮脂の成分や個人の感受性が影響するためで、 詳しくは脂漏性皮膚炎の原因をご参照下さい。

男性ホルモンはフケに似た病気にも関与する

男性ホルモンは皮膚における菌やカビに影響を与えます。

男性ホルモンである「テストステロン」は、 フケとも非常に関係の深い、白癬、皮膚カンジダ、癜風(でんぷうもフケ同様マラセチアを原因とする)などに関係する 「皮膚糸状菌」の成長を刺激し、女性ホルモンである「エストロゲン」はこれを阻害します。

一方、女性ホルモンであるエストロゲンは、 カンジダ種(酵母カビの一種)の増殖を促し、テストステロンはこれを阻害します。

アンドロゲンを抑えるには

アンドロゲンを抑えるには、食事の見直し、筋肉運動の抑制、お酒を飲むなどの方法があるものの、 その多くは不健康な内容が多くなっています。

そのため、フケや脂漏性皮膚炎を治療するのに、皮脂量やアンドロゲンを抑える方法を選択する人は少なく、 脂性フケの3つの原因の1つであるマラセチア菌を抑制することで、フケや脂漏性皮膚炎を治療することが多くなっています。

マラセチア菌を抑える方法については、 脂性フケ・脂漏性皮膚炎に効果のあるシャンプー一覧 をご参照下さい。


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