フケとは…定義・年齢・症状

フケとは…定義・年齢・症状
フケは医学用語で「頭部粃糠疹(とうぶひこうしん)」や「頭垢(ふけ)」といい、 簡略すると、「頭部の粃糠(中身のない価値のないものという意味、ここでは糠の様な死んだ頭皮や角質を示す)が剥がれ落ちる症状」、「頭に生じた垢(アカ)」という意味があります。

ここではフケ治療にあたって基礎となるフケの定義、フケが出やすい年齢、フケに伴う各種症状などについて、 紹介しています。


フケには広義と狭義がある

フケには広義と狭義がある

「フケ」はその症状に名称が付いているため、 医師や医学書によって解釈が異なります。

ある医師は「脂漏性皮膚炎」あるいは「炎症を伴わない脂漏性の皮膚から脱落する頭皮」だけを「フケ」と言い、 ある医師は「乾燥した皮膚から脱落した頭皮が目立つ症状」を含めて「フケ」と言い、 最も広義にはアトピー性皮膚炎など「皮膚が剥がれ落ちる病気あるいは症状」を含めて「フケ」という場合があります。

脂漏性皮膚炎は炎症を伴うとは限らない

脂性フケは別名「炎症を伴わない脂漏性皮膚炎」と呼ばれるように、 炎症を伴うとは限りません。

また、脂性フケは単純に皮脂量が多いだけでは発症せず、 「マラセチア菌」、「皮脂量と成分」、「個人の免疫力」の相互依存により、 フケが発症するかどうかが決まります。

脂性フケや脂漏性皮膚炎については、 脂性フケの原因脂漏性皮膚炎とはをご参照下さい。

乾燥性のフケは「広義のフケ」

乾燥性のフケのみを指して、「フケ」と定義している医師や医学書はありません。

狭義には、「脂漏性(脂性)フケ」のみを「フケ」と限定する場合がありますが、 一般あるいは広義には乾燥を原因とする頭皮が剥がれ落ちる症状をフケと呼ぶ場合が多くなっています。

乾性フケについては、 乾性フケの原因 をご参照下さい。

アトピー性皮膚炎などは症状としてフケが出る

症状として「頭皮が剥がれ、白い粉の様なものが頭や肩に目立つ状態」は、 フケ以外にも「アトピー性皮膚炎」や「乾癬」などでも見られ、「粃糠疹(ひこうしん)」という意味で利用する場合、これら病気も含まれます。

しかし、これらはその病名が優先されることから、 フケとは明らかに区別されることが多く、 当サイトでも基本的にはフケとして扱っていません。

フケが出やすい年齢

日本ではフケというと「中年以降に発症しやすい病気」というイメージが強いものの、 海外では若いほど発症率が高く、高齢者になると自然と治まることが多くなっています。

フランスでの調査結果

2011年フランスで15歳以上の1,703人を対象に行われた調査によると、 フケの有症率は「若い人ほど多く、年齢とともに減少した」という結果になりました。

年齢別フケの有症率
年齢 有症率
15~24歳 21.6%
25~34歳 19.7%
35~49歳 17.4%
50~64歳 14.3%
65歳以上 11.7%

子供のフケ

オーストラリアやアメリカで発表された「脂漏性皮膚炎」に関する論文によると、 子供は2歳未満にフケ(乳痂)が出ることが多く、これはホルモンの影響と考えられています。

赤ちゃんのフケ
年齢 有症率
2歳未満 18%
2~10歳 6%

赤ちゃんのフケに関しては、 赤ちゃんのフケ原因と治療 をご参照下さい。

フケ知識 その他

フケの語源

フケという語彙はアングロサクソンを起源とし、 「皮膚病で皮膚が剥がれる(tetter and drof)」と「dirty(汚い)」という語彙の組み合わせである、 という説があります。

女性よりも男性が多い

上記同調査によると、男女間でのフケの有症率の差異は、 男性20.7%、女性12.8%と 「男性が女性よりも約1.6倍フケになりやすい」という結果になっています。

この理由は、男性ホルモン「アンドロゲン」の影響では、と考えられています。
男性ホルモンとフケについては、 フケの原因-男性ホルモンをご参照下さい。

フケはかゆみを伴いやすい

上記同調査によると、フケに伴う合併症では、 おおよそ51%が「かゆみ」を、 31%が「刺すような痛み」を伴い、 この2症状が最も多く、 症状として「炎症」を伴うケースはわずか4%しかいませんでした。

脂漏性皮膚炎は意外と少ない

フケの原因の1つが脂漏性皮膚炎ですが、 脂漏性皮膚炎を原因とするフケは意外と少なく、 2009年アメリカで行われた脂漏性皮膚炎の調査によると11.6%で、 フランスでは2.1%とされています。

フケは普通の人も出ている

2007年に発表された皮膚治療薬の専門書によると、 「フケだと自覚していない人もシャンプーなどにより頭皮が487,000セル/平方cm剥がれ落ちている」と記載されています。

しかし、フケが目立つ人は、その2倍近くの800,000セル/平方cm以上が剥がれ落ちているとしており、 この「過剰な」あるいは「あまりにも早い頭皮の新陳代謝」がフケの特徴です。

フケは伝染しない

フケの原因の1つに「マラセチア」という菌の存在があります。
菌のため、水虫の様に伝染するというイメージがあるものの、 「マラセチア」はフケが出ない人も含め、全ての人の頭に常駐する菌です。

そのため、フケの人の頭を触ったから、 あるいは同じタオルを使ったからと言って、 「フケが伝染する」ということはありません。

マラセチア菌については、 マラセチア菌がフケの原因ごご参照下さい。

フケは再発しやすい

一度フケを患った人は「再発しやすい」という特徴を持っています。
理由はフケの原因療法(原因そのものをなくし、根治する)が存在しないためで、 フケ治療においては「フケは再発する病気である」ということが広く知られています。

言い換えると、フケの再発防止方法も存在します。
フケの再発防止については、 フケの再発防止法をご参照下さい。

不衛生は原因とはならないものの

「フケ=不潔」というイメージを抱く人も多いものの、 フケは不衛生さとは関係ありません。

ただし、アメリカでの調査によると、 不衛生、過密、識字率とフケの有病率との相関が報告されています。
これは識字率が高い人ほど、速やかに医師の手当てを受ける(ことができる)ためで、 不衛生とは関係ないのでは、と疑問視されています。

ただし、シャンプーの回数が少ないと、 皮脂の増加により脂性フケが増える可能性があります。


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