皮脂量が脂性フケの原因

脂性肌がフケの原因
脂性フケの原因の1つが「皮脂腺の活性化による皮脂量の増加」です。

脂性フケは男性に多く、 また「皮脂量の増加」だけでは脂性フケにはならないものの、 皮脂が頭皮に多く産出される場合、フケの原因の1つになります。
また、脂症がひどくなると炎症を伴う脂漏性皮膚炎につながります。

ここでは、脂症がなぜフケの原因となるのか、 脂性フケになる原因と対策について紹介しています。


皮脂量の増加がなぜ脂性フケの原因となるのか

脂性がフケの原因になるのは、 増加した皮脂がマラセチア菌の増殖を促すからです。

マラセチア菌は「脂質依存酵母」あるいは「親油性酵母」と呼ばれるように、 頭皮の脂質(トリグリセリド)を食事とし、 皮膚に炎症を起こすアラキドン酸やオレイン酸、酵素(リパーゼ)を分泌します。

これらがフケや脂漏性皮膚炎の原因の1つで、 遺伝的に脂漏性皮膚炎の人もいるものの、 男性は性徴期以降、全ての年齢で発症しやすく、 女性は男性と比較すると発症率は低いものの、 皮脂腺の活動が活発な更年期まで発症しやすくなっています。

脂症だけでは脂性フケにはならない

脂性フケは皮脂以外に、 「マラセチア菌の増加」、「自己免疫力の低下」という3種類の条件が整って、 はじめて発症します。

脂性フケの原因については、 脂性フケの原因をご参照下さい。

頭皮の脂症の原因と対策

頭皮の皮脂腺の活動の活性化、フケの原因となるのは、以下の通りです。
頭皮の脂症の原因
■シャンプー
  • 洗髪回数が少ない・多すぎ
  • 洗浄力の強いシャンプー
■食事
  • 糖分や脂肪分の取り過ぎ
■ホルモン・遺伝
  • 男性ホルモンが多い
  • 遺伝
  • 妊娠
■その他
  • 季節

シャンプー

シャンプーの回数が少ないことは、 皮脂を日々累積させることとなり、フケを悪化させる原因となります。

しかし、「シャンプーの回数が多すぎ」たり、 「洗浄力が強過ぎるシャンプー」もさらなる脂症やフケを悪化させる恐れがあります。

これは皮脂を過剰に取り過ぎた結果、無くなった皮脂を補うため、 皮脂腺の活動がより活性化し、より多くの皮脂を出してしまうためです。

ただし、「皮脂をしっかりとるようシャンプーの回数を多くした結果、フケが出なくなった」という人もいるため、 個人差があります。

食事

糖分や脂肪分の取り過ぎは皮脂量の増加を促します。

1967年に発表されたルウェリンらの研究によると、 「脂肪あるいは炭水化物の摂取により皮脂の産出が増加する」 としています。

また、ネイチャーに寄せられた研究「高炭水化物の皮脂の脂質成分における変化」においても、 「炭水化物が皮脂量及び皮脂成分を変更する」と記載しています。

この記事の中には、食事の抑制(総カロリー量の減少)によって、 皮脂量が減少すると述べているものの、健康な体に害を及ぼすほどの継続的なカロリーコントールは難しいことも事実です。
そのため、 特に皮脂量および皮脂成分に影響を与える炭水化物や甘いもの、脂質を抑えることが、 フケの悪化を防止する方法としては、比較的容易かもしれません。

男性ホルモンが多い

皮脂腺の活動を活性化するのが、男性ホルモンアンドロゲンです。
1979年に皮膚科学誌に記載された論文でも、 「皮脂量を決める最大の要因は内因性、特にアンドロゲンによる」と述べています。

遺伝

脂性肌の原因の1つは親からの遺伝です。
皮脂腺の数は遺伝形質により、生まれた時から決まっています。

1979年に発表された「皮脂腺の活動と加齢変化」によると、 特に男性は、皮脂腺の活動が年齢とともに低下するにも関わらず、 皮脂腺が大きくなることでそれを補う兆候が見られ、 全ての年齢(論文内では80歳まで)を通じて皮脂量は大きく変化しない、と述べています。

また別の記事でも、皮脂量は35歳以降毎年1%程度低下するものの、 総量は女性ほど大きく変わらないとしています。

そのため、遺伝的に皮脂腺の数が多い人やアンドロゲンが多い人は脂性フケになりやすくなっています。
一方女性では、閉経(50歳前後)を境に皮脂量が著しく減少し、70歳以降皮脂量が低値で一定するとしています。

妊娠

妊娠は一般的には「肌の乾燥」、皮脂量を減少させます。
これは、経口避妊薬が皮脂の減少やニキビ治療薬として有益であることと同じです。

しかし、人によっては妊娠中に皮脂量が増加してしまいます。

1960~70年代に行われた10人の妊婦を対象にした皮脂排出量を測定した実験によると、 10人のうち9名が妊娠中を通じて皮脂量の減少を経験したにもかかわらず、 もともと皮脂量が最も多かった1名は、妊娠中(特に20~24週に)皮脂量が大幅に増加していました。

そのため、もともとオイリー肌の人や、甘いもの・脂質を好む人の場合、 妊娠中に脂性フケを発症あるいは増加させる場合があります。

季節

脂性肌がフケの原因
暑い季節は汗(水分)だけでなく、皮脂量の増加を促します。
そのため、他の季節はフケがでないにも関わらず、 夏だけ脂性フケが出る人も少なくありません。

海外で行われた21歳~37歳を対象にした顔の皮脂量を測定した調査によると、 夏は汗だけでなく、平均皮脂量が1.5倍近くに増えると発表しています。

フケの原因の一つである皮脂量をコントロールすることは容易ではない

脂性フケの原因の一つである「皮脂量(成分)」をコントロールすることは、 多くの人にとって容易ではありません。
また、「ホルモン・遺伝」、「季節」などコントロール自体不可能な事柄もあります。

しかし、脂性フケは「皮脂量(成分)」以外に、「マラセチア菌」、「自己免疫力」の3つが揃って、 はじめて発症します。

そのため、脂性フケを改善するには、 比較的コントロールしやすい「マラセチア菌」を抑制することが、 最も容易です。

マラセチア菌の抑制については、 脂性フケに効果のあるシャンプーあるいは、 脂漏性皮膚炎に効果のあるシャンプーをご参照下さい。


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